
釣った魚の締め方と血抜き
氷締め・脳締め・神経締めの使い分けと、おいしく持ち帰るコツ
釣った魚をおいしく持ち帰るための締め方と血抜きをまとめます。小魚の氷締め、脳締めと血抜きの手順、神経締めが向く魚、魚ごとの締め方、クーラーボックスでの冷やし方と持ち帰り方まで。
釣った魚の味は、釣り上げてから家に着くまでの扱いで大きく変わります。同じ魚でも、きちんと締めて血を抜き、よく冷やして持ち帰ると、生臭さが少なく、身の締まったおいしい魚になります。
この記事では、釣り場でできる魚の締め方を、小魚の「氷締め」、中型から大型の魚の「脳締め」と「血抜き」、刺身で寝かせたい魚の「神経締め」に分けてまとめます。魚ごとの使い分けと、クーラーボックスでの持ち帰り方も紹介します。
結論:魚の大きさで締め方を選ぶ
締め方の基本は、次の3つです。
- 暴れさせずに、すぐ締める:魚が暴れると身が傷み、うまみのもとが減ります。
- 血を抜く:血が身に残ると、生臭さと傷みの原因になります。
- 冷やして持ち帰る:温度が上がると、鮮度が一気に落ちます。
魚の大きさ | 向く締め方 | 例 |
|---|---|---|
小魚を数釣り | 氷締め(海水と氷) | 小アジ・イワシ・サバ・キス |
20〜40cm | 脳締め+血抜き | アジ・メバル・カサゴ・クロダイ |
大型・刺身で寝かせる | 脳締め+血抜き+神経締め | マダイ・ブリ・ヒラメ・スズキ |

用意するもの
道具 | 使い方 |
|---|---|
クーラーボックス | 氷と海水を入れて冷やす。釣り場に着いたら先に用意する |
ナイフ・ハサミ | エラを切って血を抜く |
フィッシュピック | 頭の急所を刺して締める(脳締め) |
神経締めのワイヤー | 背骨の上の神経を壊す(神経締め) |
水くみバケツ | 海水を入れて、血を抜く魚を泳がせる |
手袋・フィッシュグリップ | 魚のトゲやヒレから手を守る |
クーラーボックスの選び方は、小物・装備の「クーラーボックス」で紹介しています。
小魚は氷締め:海水と氷で一気に冷やす
小アジやイワシのように、小さな魚がたくさん釣れるときは、1尾ずつ締めるより「氷締め」が向きます。冷たい海水に入れて、一気に締めて冷やす方法です。
- 潮氷を作る:クーラーボックスに氷を入れ、海水を氷がひたるくらい注ぎます。この冷たい海水を「潮氷(しおごおり)」と呼びます。
- 釣れたらすぐ入れる:釣った魚を、生きているうちに潮氷へ入れます。冷たさで魚がすぐに締まり、冷えます。
- 冷えたら水を抜く:長く海水に浸けたままにすると、身が水っぽくなります。魚が十分に冷えたら、海水を少し抜くか、魚を袋に移して氷の上に置きます。

真水の氷だけでは、魚に当たる所だけが冷えすぎたり、氷が溶けた真水で身が白っぽくなったりします。釣り場では海水を足して、氷水にして使います。
脳締め:頭の急所を突いて、すぐ締める
20cmを超える魚は、1尾ずつ「脳締め」をすると、暴れて身が傷むのを防げます。
- 魚を押さえる:タオルや手袋で魚の体を押さえ、頭を固定します。
- 急所を刺す:目の少し後ろ、頭の上側をフィッシュピックやナイフの先で刺します。
- 締まったか確かめる:うまく急所に入ると、魚がぶるっと震え、口が開いてヒレが広がり、動かなくなります。
急所の位置は、魚の種類で少しずつ違います。最初はうまくいかなくても、何尾か締めるうちに分かるようになります。
血抜き:心臓が動いているうちにエラを切る
血抜きは、締めたあと、心臓がまだ動いているうちに行います。魚が完全に死んでしまうと、血が抜けにくくなります。
- エラを切る:エラぶたを開き、エラの付け根の膜と太い血管を、ナイフやハサミで切ります。左右両方を切ると、よく抜けます。
- 海水に入れる:海水を入れたバケツに頭から入れ、数分そのままにします。心臓の動きで、血が海水へ押し出されます。
- 大きな魚は尾も切る:大きな魚は、尾の付け根にも切れ目を入れると、血が抜けやすくなります。
- 冷やす:血が抜けたら、すぐにクーラーボックスへ移します。

アジで、冷たい海水の用意から脳締め・血抜き・神経締めまでを見せる動画です。
神経締め:刺身で寝かせたい魚に
神経締めは、脳締めと血抜きのあと、背骨の上を通る神経を専用のワイヤーで壊す方法です。死んだあとに身が硬くなる「死後硬直」が始まるのを遅らせ、身の鮮度とうまみを長く保ちます。
- ワイヤーの入り口を作る:脳締めの穴か、尾の付け根を切った断面から、背骨の上の小さな穴(神経の通り道)を探します。
- ワイヤーを通す:ワイヤーを穴に差し込み、背骨に沿って奥まで押し込みます。
- 何度か出し入れする:ワイヤーを数回出し入れします。魚の体がぴくぴくと震えたら、神経に入っています。
神経締めは、刺身で数日寝かせて食べたいマダイや青物、ヒラメなどの大きな魚で効果が大きい方法です。その日のうちに食べる小魚や、煮付け・唐揚げにする魚なら、脳締めと血抜きで十分です。
マダイで、脳締め・血抜き・神経締めの流れを見せる動画です。
脳締め・血抜き・神経締めの手順と、締め方で魚の味が変わるしくみは、カゴ釣り完全ガイドさんの note に詳しくまとめられています。
note / カゴ釣り完全ガイド魚の締め方 完全ガイド|科学で味が変わる!脳締め・神経締め・血抜きの全手順note で読む ↗魚ごとの締め方
魚 | 締め方 |
|---|---|
小アジ・イワシ | 潮氷で氷締め |
アジ(20cm以上) | エラの付け根を切り、海水のバケツで血を抜いてから冷やす |
カワハギ | 肝を傷つけないよう、エラぶたの中に刃先を入れてエラの一部を切る |
タチウオ | 身が傷みやすいので、エラの下を切ったらすぐ潮氷へ |
ヒラメ・大きなマダイ | 生かしておき、帰る前に締めて、頭側と尾側の2か所を切って血を抜く |
ブリ・ワラサなど青物 | 脳締め、エラと尾を切って血抜き。刺身で寝かせるなら神経締めも |
クーラーボックスでの持ち帰り方
締めた魚は、帰るまでしっかり冷やします。ただし、氷や冷たい水に直接当て続けると、当たった所の身が傷みやすくなります。
- 袋に入れる:締めて血を抜いた魚は、ビニール袋に入れてから氷の上に置きます。氷が溶けた水に、魚が直接浸からないようにします。
- 紙で包む:大きな魚は、新聞紙などで包んでから氷の上に置くと、冷えすぎを防げます。神経締めをした魚は、急に冷やしすぎると、遅らせた死後硬直が早く始まってしまいます。
- 帰ったら早めに下処理:家に着いたら、その日のうちに内臓とエラを取ります。

持ち帰ったアジの下処理とさばき方は、アジのさばき方で説明しています。
締めるときの注意
- トゲと歯に気をつける:カサゴやメバルのヒレのトゲ、タチウオの歯は鋭く、刺さるとけがをします。手袋やフィッシュグリップを使います。
- 毒のある魚にさわらない:ゴンズイ・アイゴ・ハオコゼなどは、ヒレのトゲに毒があります。分からない魚は素手でさわらず、ハサミで針のハリスを切って逃がします。
- 刃物は足場のよい所で:堤防や磯では、足場の安定した所で刃物を使い、使ったらすぐしまいます。
- 血を流したら洗う:血抜きをした所は、海水でよく流してから帰ります。
まとめ
釣った魚は、暴れさせずにすぐ締めて、血を抜き、よく冷やして持ち帰るのが基本です。小魚は潮氷で氷締め、中型から大型の魚は脳締めと血抜き、刺身で寝かせたい大きな魚は神経締めまで、と大きさで使い分けると迷いません。
- 小魚:釣れたらすぐ、氷と海水の潮氷へ
- 中型から大型:脳締めのあと、心臓が動いているうちにエラを切り、海水のバケツで血を抜く
- 持ち帰り:袋に入れて、氷に直接当てずに冷やす。帰ったら早めに内臓を取る

持ち帰った魚のさばき方と、締め方のさらにくわしい手順は、次の記事が参考になります。
- アジのさばき方
- 鮎・ヤマメ・イワナ・ニジマスの下処理
- カゴ釣り完全ガイドさんの note 「魚の締め方 完全ガイド」
よくある質問
釣った魚を締めないと、どうなりますか?
魚が暴れて身が傷み、血が身に残るので、生臭さが出やすくなります。小魚でも、氷と海水の潮氷に入れておくだけで、味はかなり変わります。
血抜きは海水と真水、どちらでしますか?
海水でします。真水に入れると、身が水を吸って水っぽくなりやすいためです。釣り場では、バケツに海水をくんで使います。
神経締めは、どの魚でもしたほうがいいですか?
必ずしも必要ではありません。神経締めは、刺身で数日寝かせたい大きな魚で効果が大きい方法です。その日に食べる魚や、加熱して食べる魚なら、脳締めと血抜きで十分おいしく食べられます。
氷締めした小アジも、刺身で食べられますか?
食べられます。釣れてすぐ潮氷で冷やした小アジは、鮮度がよく、刺身やなめろうにも使えます。生で食べるときは、その日のうちに内臓を取り、アニサキスがいないか身をよく見て確かめます。
締めた魚は、どれくらいもちますか?
冷蔵で、刺身で食べるなら翌日まで、加熱するなら2〜3日が目安です。それより長く置くときは、下処理をして切り身にしてから冷凍します。


